人をやる気にさせるリーダーの話し方

マインド

あなたはリーダーと聞くとどんな人を想像しますか?

リーダーとは多くの人に影響を与えたり、大きな会社を率いる有名な経営者を想像するのではないでしょうか?

今回は「1人でも導くべき人がいる人」に向けて書きたいと思います。

会社の部下やスタッフ、家庭では子どもたちをどうやる気にさせ、どう導いていくのかは、リーダーにとって大きな悩みです。

その中でも特にコミュニケーション、つまり話し方は大きな課題でしょう。

上手くいくリーダーになるためにやるべきたった1つのこと、それは

相手の立場や気持ちを理解し、寄り添う気持ちを持って話す」

ただこれだけです。

たくさんのリーダーが悩んでいること

「もっと部下が思ったと通りに動いてくれれば…」

「どうすればチームがまとまるんだろう?」

これはいつの時代もリーダーが共通して抱えている悩みでしょう。

「どう伝えればいいのか?」、つまりコミュニケーションの悩みが大部分を占めていると言っても過言ではありません。

そんな中、ごく一部ですが、部下やメンバー、子どもや生徒といい関係づくり、その人たちの能力を最大限に引き出すことが出来ている名リーダーは存在します。

悩むリーダーとうまくいくリーダー、その2つの存在にはどんな違いがあるのでしょうか?

こう尋ねると、「実績があるから」「カリスマ性があるから」と答える人が少なくありません。

実はこの思い込みこそがリーダーを悩ませる一番の原因なのです。

そうした特別なものを持っていなくても誰でも素敵なリーダーになることは可能です。

必要なものはたった1つ、「人をやる気にさせ、能力を引き出す話し方」なのです。

特別感が重要である

自己肯定感。あなたはこの言葉を聞いたことはあるでしょうか?

「自己肯定感を満たす」ということは、言い換えると、「相手の存在を肯定する」という意味の言葉です。

「ではリーダーは相手の自己肯定感を埋めてあげれば上手くいく」そう思うかもしれませんが、

残念ながら自己肯定感を満たすだけでは部下は動きません。

そのもう一つ上の欲求を刺激し、高めることが必須課題となるのです。

その欲求を「自己重要感」と呼びます。

この2つの欲求は似ているようで実は大きな違いがあります。

まずは自己肯定感。それは、その人じしんがじぶんの存在をどれくらい肯定できているかというメモリになります。

「自分はこの組織にいていいんだ」

「仲間として認めてもらっているんだ」という安心感とも言えるでしょう。

そしてこの自己肯定感に関しては、社会的立場や実績というものをすべて取っ払った状態での判断になります。

わかりやすく言えば、その人がどんな地位についていようが、どんなに社会的な実績がなかろうが、そんなものは関係なく自身の存在を肯定するということが条件なのです。

これに対して、自己重要感は、社会での立ち位置や実績というものが絡んできた中で満たされるものなのです。

「大きな仕事を任された」

「ポジションが1つ上がった」

という目に見えるポジションもあれば、

「自分はあのすごい人から目をかけられている」

「組織で期待されている」

といった精神的充足感も自己重要感に含まれます。

自己肯定感=安心感

自己重要感=特別感

上手くいくリーダー、周りの人に慕われるリーダーは、自分の話し方を通して部下やメンバーたちの特別感を高めているのです。

リーダーを苦しめる思い込み

「リーダーはなんでもできるすごい人であるべきだ。そうでなければならない」

言葉にしなくとも、心の底でそう思い込んでしまう人も少なくはないでしょう。

周りにすごいリーダーが増えると、その人たちのように、自分も完璧でなければならないと思い込んでしまうリーダーたちが増えているのは事実です。

すべての仕事で成果を出す上司

聞いたことになんでも答えることができる先生

そんな立派な人になる必要はないと断言します。

かえってそういう完全無欠なリーダーは、下のポテンシャルを潰してしまうことも少なくありませんし、彼らの自己重要感を下げてしまうことも往々にしてあります。

もう1つリーダーを苦しめている思い込みがあります。

それは「すべての部下に愛されなければならない」というものです。

どんなに部下のことを大切に思おうと、どんなに温かい言葉をかけようと、人にはそれぞれの好みというものがあります。

そもそも誰からも好かれるという、お釈迦様でもキリストでもできなかったことに自ら挑戦し、心をすり減らす必要はありません。

「完璧でなければいけない、愛されなければいけない」という理想を求めすぎるがゆえに、例えば自分がミスをした時に、なんとか隠そうとしたり、言い訳をして取り繕おうとすることは、かえってリーダーとしての人望を失ってしまいます。

間違えた時は素直に「ごめん」と謝ればいいですし、嫌われたら「ありゃ、残念」くらいの気持ちでいいのです。

「リーダーでも間違えるんだ」「嫌われることがあるんだ」という人間的な部分を見せることで、部下の心にはゆとりができます。

上の立場の人に欠けているところがあるからこそ、下の人の出番が生まれるのです。

ではどんなリーダーが求められているのでしょうか?

それはあなた自身が部下に求めているものと同じです。

つまりは「可愛げと愛嬌」です。

この2つは上位の立場から下の立場に求めるものだけでなく、実は逆も同じなのです。

「可愛げと愛嬌があるリーダーだからこそ、人は親しみを感じ、「自分がいないと」と責任を持ってくれるのです。

今の時代に必要とされているリーダー、それは完璧なリーダーではなく、親身になって話を聞き、ともに考え、ともに寄り添って歩いてくれるリーダーなのです。

声かけの3つのルール

部下の自己重要感を上げるリーダーには多くに共通点があります。

まず1つ目。それは「何かを話す前にその相手の名前を呼ぶ」ということです。

例えば挨拶1つとってもそうです。

ただ「お疲れ様」「ありがとう」ではなく「〇〇くん、お疲れ」「〇〇さん、ありがとう」とできるかぎり1人1人に声をかけています。

これは無意識にやっているリーダーも多いとは思いますが、優秀なリーダーを観察すると、おそらくこの共有点が見えてくるはずです。

名前を呼ぶことは、相手の尊重するということです。名前を呼ばれることによって無意識に相手は自己重要感が高まっていくのです。

人は自分の名前を呼んでくれるリーダーを好きになるのです。

2つ目は世の中には大きく分けて2種類のリーダーがいます。

1つは自分1人でチームを引っ張っていこうとするタイプのリーダー。

そしてもう1つは、周りの人を自然と巻き込みながらともに進んでいくタイプのリーダーです。

この2つのタイプを簡単に見極める方法があります。

前者のリーダーは「私は」つまり 「I」を主語にします。

これに対して後者のリーダーは「私たち」つまり「We」を主語にします。

ほんのわずかな違いですが、下の人に与える心理的影響は大きいものです。

「私は」と言われた瞬間に、リーダー自身の話になり、他人事になってしまいますが、「私たち」と言われた瞬間、それは突然自分ごとの話になります。

あなたは普段、部下たちとの会話でどっちの主語を使っていますか?

3つめは、「話を振って参加させる」ということです。

自分から話せない人に対しても、「君はどう?」とさりげなく話を振るのです。

このアクションは引っ込み思案な人にとっては、「自分は蚊帳の外じゃないんだ。ちゃんと見てくれているんだ」と想像以上に大きく自己重要感を高めてくれます。

優秀なリーダーは、会話において名キャッチャーのような存在です。

飛んでくる球をファーストに投げたり、サードに投げたり、時には遠くにいる外野に投げたりします。

そうすることで、チーム全体で1つの話を作り、できる限り寂しい人を作らないように会話においての気遣いができるのです。そしてそういうリーダーだからこそ、「この人のために」と人がついてくるのです。

なぜを伝える

リーダーの仕事とは何か?

それは優秀はリーダーであればあるほど、目標ではなく、目的を伝えています。

目的、それはつまり、「なぜやるのかという意味」です。

なぜこの仕事をするのか?なぜ報連相が大切なのか?

ここを語るのです。「なぜ」が見えたとき、はじめて人は動き出します。意味が明確になった方が人のモチベーションは継続するのです。

これは仕事だけではありません。例えばあなたに子どもがいるとして、勉強に対してのモチベーションをあげようとした時も同じことが言えます。子どもの勉強に力が入らない理由、それは目標ではなく、目的、つまり「この勉強はなんの約に立つのか?」が見えていないことが一番の原因です。

人は目標より目的、つまり意味を求めます。そしてその意味を導き出す問い、それこそが「なぜ」なのです。

凹凸の法則

人は環境の生き物です。どんな場所にいるか、どんな人と過ごすのかで大きくじぶんのスタイルを変えていきます。環境にうまく適応するように出来ているのです。

この現象を「凹凸の法則」と表現しています。

例えば新入社員の例にして考えてみると…

社会に出たばかりのころは、理想を持って仕事に臨みます。しかし、学生の頃とは違って、20歳前後の若者と、60歳を過ぎた人が隣の席に座るということも不思議なことではありません。

そんな状況の中、「社会とはこういうものだ」「口答えするな」と言われると、諦めるようになります。

こうして元々元気で自分の意見を持った人でも、だんだんとその場合に適応するために、自分自身を変えていきます。凹凸の法則で言えば、凸と凸がぶつかって、だんだん片方が凹になっていくのです。

口数の多い親に無口な子ども、カリスマ経営者にイエスマン、仕事のできる上司に大人しい部下。凹凸の法則に当てはめると、この図式が生まれるのは不思議なことではありません。

簡単に言うと、「リーダーが話し過ぎ」なのです。

細かく指示をしたり、部下に話をする隙を与えなかったりすると相手はやる気をなくしてしまいます。

コミュニケーションは話す力と聞く力が必要とされますが、その間にはもう一つ大切な力が隠されています。

それは「話さない力」です。

もっとこうすればうまくいくとわかっていると思わず口を挟みたくなってしまう…

しかし、部下に任せようと自分に言い聞かせて、「話さない力」を磨いていくと、だんだんと部下のモチベーションが変わっていきます。「こんないい意見を持っていたんだ」と驚くこともあるでしょう。

部下の可能性を潰してしまわないように、話さない力を身につけましょう。

必要なときは厳しく言ったっていい

「部下の自己肯定感を高めるために相手の立場に寄り添う」ということにフォーカスしてきました。

全く逆の事になるかも知れませんが…

たまには遠慮せずに言ってもいいのです。

たまには感情的になってもいいのです。

大切なのは「あなたが相手のことをどう思っているか?」という気持ちの部分です。

むしろ大切に思っている相手だからこそ、どうしても感情的になってしまったり、ムキになってしまったりすることだってあります。

相手の機嫌だけにフォーカスし、相手にわかりやすく伝えることだけに善とし過ぎてしまうと、リーダーは言いたいことが言えなくなってしまいます。

「ダメなのもはダメ」そう伝える強さも必要なのです。

そうすることで、不平不満が出るかも知れません。しかし、その不平不満を全て解消しようとしなくていいのです。

寒いところで育ったりんごが強く育つように、リーダーが完璧ではなく、欠けたところがあったり、理不尽なことを言われることで、反骨精神も生まれますし、自分の頭でものを考えることができるようになります。

あまりにも甘やかしすぎると、人は社会に出た時に弱くなります。

社会は自分にとって親や温かいリーダーのような人たちばかりではありません。そうした中で、強く生きていけるように育てること。

そのためにも、リーダーが完全無欠で非の打ちどころのない人である必要はないのです。

リーダーの究極の存在意義、つまりなんのためにリーダーはいるのか?

「そのポジションの力を使って、部下たちに自己重要感を与えるため」なのです。

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