地味だけど一生役立つ伝わる技術

マインド

まずこの本の最初に出てくるクイズをご紹介します。

クイズ①

クイズです!

ある人気の八百屋さん。このお店では普通はあまり伝えていない「あること」をお客さんに伝えているそうです。「あること」とはいったい何でしょうか?

答え!

「今日おすすめしない野菜や果物」を正直にお客さんに伝える。

そんな八百屋さんがあるんですね。どこまでもお客さん思いのお店です。この話を聞いた時はびっくりしました。おすすめしないことを正直に言ってしまったら、その野菜や果物は売れ残ってしまいますよね。

でもそれでもいいそうなんです。

その青果店のお客さんはほとんどが常連さん。日常的にそのお店を使ってくれる人です。そういう人が「おいしくない野菜や果物」を買ってしまったら、お店の評判も落ち、次からは近所のスーパーに買いに行ってしまうかもしれない。だからできるだけ正直に伝えているそうです。

この話を教えてもらった時に、この八百屋さんは伝え方がうまいと思いました。

実は「伝わる技術」が使われています。

ひとつは「ダメなものを伝えることで、良いものが引き立つ」という方法。「おすすめしない」ことを伝えることで、逆に「おすすめされたもの」の価値は高まります。

二つ目は信頼感です。ダメなものを正直に伝えることで、お店の信頼感を高めています。正直に話→信頼感が生まれる→信頼感がある人の言葉はスルスル入ってくる。そんな流れができています。

ちょっとしたことですが、これだけで伝わり方は大きく変わります。そのためには「伝わる技術」を身につけるのが一番です。

クイズ②

ではもう一問、「伝わる」に関するクイズです。

レストランでいつもお客さんに出している水。この水を、中身を変えずに「おいしい水」に変える方法があるそうです。

どんな方法でしょうか?

答え!

お客さんに出す時に「おいしい水です。どうぞお召し上がりください」という気持ちを込めたサインをお客さんにさりげなく送る。

これは以前、接客のプロに聞いた話です。ここでいうサインとは動作と気持ち。これだけお客さんへの伝わり方がまったく変わるそうなんです。一つひとつの動作に区切りをつけ、テーブルの前できちんと止まる。お辞儀。グラスを持ち、お客さんの前にスッとグラスを置く。「おいしく飲んでもらいたい」という気持ちを込めて。

たったこれだけのことで、相手が受け取る印象は全く異なる訳です。

ここまでで押さえておきたいのは次の3つです。

  • 人は、伝えてもらわないとわからない。
  • ただ伝えるだけでは伝わりにくい。うまく伝えないと伝わらない。そして、伝え方には技術がある。
  • 言葉だけでなく「態度+表情」も伝わる大きな要素。

人は基本的にあまり覚えていない

あなたは人から聞いた話をどれくらい覚えていますか?

僕はかなり忘れてしまいます。(なのでメモをとっています)

記憶力や集中力の差もあると思いますが、人はかなりの情報を忘れてしまう、もしくは最初から聞いていません。

「エビングハウスの忘却曲線」が有名です。

人は何かした時に、

  • 20分後には約42%忘れる
  • 1時間後には約56%忘れる
  • 約9時間後には約64%忘れる
  • 1日後には約66%忘れる
  • 2日後には約72%忘れる
  • 6日後には約75%忘れる
  • 1カ月後には約79%忘れる

と言う忘却曲線です。

なので忘れられている前提で、伝える頻度を高めることが大切なのです。

伝わるビルディングは7階建て

・伝わる構造1階:ゴール設定

「伝わるにはゴール設定が必要です。「何のために」ですね。たとえ雑談であっても、ゴールはあります。「アイスブレイク」かも知れませんし、「相手と仲良くなるため」かもしれません。

ゴールを決めることが大切です。

・伝わる構造2階:納得感

納得感があって初めて、「伝わる」生まれます。腑に落ちるということです。

相手の納得感がないと、伝わったことにはなりません。

・伝わる構造3階:相手ベース

自分ベースで考えている人は、伝えたいことが伝わらなかった場合、相手のせいにすることも。よく「あの人には何回も言ったのに」「あの人が悪い」と嘆いている人がいませんか。そういう人は残念ながら「伝え方」が下手な人です。

・伝わる構造4階:見える化

相手の頭の中に「見える化」させることが大切です。

頭の中にイメージが浮かばないと、それは伝わっていない可能性が高いと言えます。

話がわかりやすいと言われている人は、実は「見える化の達人」です。

・伝わる構造5階:聞く力

話を聞いてくれたことで「返報性の原理」と親近感が生まれます。

「返報性の原理」は恩を受けたら返したくなるという「お返しの法則」です。

・伝わる構造6階:親近感

嫌いな人を想像してみてください。

嫌いな人が話した内容は、素直に入ってこないものです。間違ったことを言ってなかったとしても、どこかにほころびを見つけそこを突きたくなるし、言われた内容を認めたくない感情も働きます。

一方で「親近感」があると、体と脳は「相手を受け入れるモード」になり、少しくらい変だと思っても、思わず「イエス」と言ってしまいませんか?

それくらい親近感は判断を左右しています。

・伝わる構造7階:信頼感

ある有名な経営者がこんなことを言いました。

「たくさんの失敗が、成功を引き寄せます」

これを聞いてどう思いますか?学びになる言葉だと思いませんか?

一方であなたの周りにいる、いつも失敗ばかりしている人がこう言ったらどうでしょうか?

「今僕がしているたくさんの失敗は、将来、成功を引き寄せるはずです」

いつも失敗している人の言葉を聞いて「この人、何言ってんだ」と思いませんか?

でも2人の言葉を文字に起こしてみると…ほぼ同じ内容です。

違いは2人に対する信頼感です。

「伝わる」で大切なことのひとつが信頼感です。

話を広げる質問のコツ

話を広げる質問のコツのひとつが、相手の「好き」を聞くことです。

①相手の好きなことを聞く。

②相手の好きなことは相手の話の中だけでなく、持ち物などどこかに隠れていることも。

③相手の好きなことと、自分が話せることを繋げる。

人は自分の好きなことについて話している時は楽しく、自分の好きなことに関心を示してくれる人に好感を抱きやすいものです。相手の「好きなこと」は最高の話の種になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました