心理術と聞くと、あなたはどのような印象を抱きますか?
心理学を専門で学んだ人しか使えない特殊な技術?人の心を読む怪しい技術?
私は心理術を「人間関係をスムーズにするツール」と見ています。
例えば、あなたの職場の上司が苦手だとします。
上司が苦手なあまり、職場では極力気配を消し、上司や同僚から隠れるように仕事をしています。そんな職場、窮屈ではありませんか?そんな時、心理術はそっとあなたの背中を押してくれます。
上司に報告するとき、お願いごとをするとき、指導を受けるときなど、さまざまな場面で心理術の出番があります。
また、部下や後輩、取引先の人と接するときやプライベートで気になる相手を接するときにも心理術は活躍します。
相手の本音を見破る心理術
○目の動き…目は本音があらわれやすい場所。視線や瞳孔、眉の動きに注目すると、相手の気持ちが手に取るようにわかります。
- 緊張している時→まばたきが多くなる
- 興味がある時→目を見開いて、瞳孔が開く
- 対抗心を持っている時→目を合わせたまま、視線を逸らしてくれない
- 主導権を握りたい時→視線を先に外すと会話の主導権を奪える
- 自分の考えをまとめているとき→上を見ている
- 話しかけられたくないとき→下を見ている
- 未来のことを考えている時→右上を見ている
- 過去のことを考えている時→左上を見ている
○しぐさ・くせ…何気ないしぐさやくせも、相手の本音を読み解く大切なヒントになります。見落としてしまわないように注意しましょう。
- 後ろめたいことがある時→手や足の動きが小さくなる
- 本心を見せない人→いつもポケットに手を入れている
- 壁を作っている時→両手の指を絡ませている
- 拒絶している時→脇に手を挟む腕組みをしている
- 苦手な相手といる時→男性は肩が平行に、女性は肩があがる
○会話中のしぐさ…相手の本音を知りたいなら、会話している時の手や体の動きに注目しましょう。実はいろいろな情報が隠されているのです。
- 心を開いている時→手のひらを見せながら話している
- 感心している時→あごに手を当てている
- 不安を感じている時→髪や体を触りながら話している
- 疑っている時→後頭部に手を当てている
- 冷静になろうとしている時→額に手を当てている
- 飽きている時→頻繁に耳を触っている
- 隠し事をしている時→唇の端を触っている
苦手な相手を操る心理術
○イエスバッド法
相手の意見を真っ向から否定するのではなく、一旦賛成して、その後から反論する心理テクニック。一度受け入れることで相手の意見を理解していることを示し、相手に安心感を与えられる。単純に反論するよりも、反対意見を受け入れてもらえやすくなる。
○ミラーリング
相手の動作を意識的に真似して、親近感を与えること。相手への尊敬や敬意を表現できる。あからさまなミラーリングはかえって不快感を与えることがあるので、相手に気づかれないように自然な動きとタイミングが重要。
○同調行動
相手の言動や感情、態度に同調して、同じように行動すること。「ペーシング」ともいう。笑顔には笑顔で、悲しいそうな人には悲しそうに接することで、相手を安心させて気分をよくする効果が期待できる。
○フット・イン・ザ・ドア・テクニック
まず小さなお願いごとから引き受けてもらい、徐々に本命の大きな要求に近づけていくテクニック。相手の「イエス」を積み重ねていくと、相手の気持ちを誘導することができる。
○ピグマリオン効果
期待をかけられたり褒められたりすると、モチベーションが上がり期待通りの働きができるようになる効果。キプロス島の王・ピグマリオンが乙女像に願ったことで、乙女像が人間になってと言うギリシャ神話に由来する。
相手を思いのままに操る心理術
○ドア・イン・ザ・フェイス
引き受けてもらえないとわかっている大きな要求をして一度断らせてから、本命の要求をするテクニック。先にこちらが譲歩することで、相手にも「譲歩しなければならない」という気持ちを植え付けることができる。
○フレーミング効果
言葉を言い換えることで思考の枠組みを再構築して、相手に抱かせる印象を変えること。例えば「1キログラム」を「1000グラム」と言い換えると、同じ重さのことを表していても違った印象を与えることができる。
○ランチョンテクニック
人は、食事中は否定的な気持ちになりづらい。このことを利用して、相手のイエスを引き出したい交渉を食事の席で行うテクニック。交渉は、食前や食後ではなく、食事の最中に行うと効果的。
○バンドワゴン効果
「バンドワゴン」」とはパレードの先頭で列を先導する楽隊車のこと。「バンドワゴン効果」はある対象を大勢の人が支持していると、内容の正しさなどどは関係がなく、その支持が一層大きくなる現象。
○カリギュラ効果
「やってはいけない」「見てはいけない」などと言われると、かえってやりたくなってしまうこと心理のこと。人は強く禁止されると、余計に好奇心を刺激されて、対象への興味をましてしまう。
自分の印象をよくする心理術
○返報性の原理
人は一方的に他人から物を与えられたり、施しを受けたりすると罪悪感を抱き、お返しをしたいと思う心理のこと。ただし見返りを迫ったり、高価すぎるものを送るなどすると上手く働かない。あくまでも相手との関係を考え、釣り合うことをしてあげなければならない。
○ザイアンスの法則
①人は知らない人に対して冷淡で攻撃的である。②人は会う回数が多くなるほど好意を抱く、いう2つの心理効果のこと、「人」相手だけでなく、場所や物に対しても、同じようにこの法則が当てはまる。
○単純接触効果
接触回数が増えるほど、好感度が高くなる心理現象。人間関係だけでなく、CMや選挙活動でも有効。無限に高くなっていくのではなく、10回がピークで、それ以上は印象に影響を与えないというデータもある。
感情をコントロールする心理術
○アンカリング
ある情報(アンカー)によって、それに対応する精神状態などが意図的に呼び起こされ、行動や判断に影響を及ぼす効果。幸せな気分になる行動をとると、自然を幸せな気分を味わえる。「うれしい」「楽しい」などの言葉を発すると気分が晴れることも。
○カタルシス効果
感情はアウトプットすると忘れやすくなる効果。モヤモヤした感情を口に出したり、紙に書いたりすることでストレスが解消できる。映画や音楽の鑑賞も同様の効果があり、抱いている感情に同調するような内容の場合に元気が出たりする。
○プラシーボ効果
効果のない薬でも本物だと信じ込ませることで、実際に何らかの効果が出たりすること。「偽薬効果」とも呼ばれる。元々は医学用語だが、ビジネスや恋愛など、さまざまな場面でも使用させるようになった。ネガティブな思い込みにも有効なため、要注意。
無意識だからこそ・・
心理術を手がかりに、人のちょっとした「動き」から心の中の分析ができます。たいていの行動には、心理的な「裏づけ」があると意識するだけで、人間関係にまつわる悩みも解消できるはずです。人間の「動き」というのは、無意識であっても、いや無意識だからこそ、「裏づけ」があるのです。
「どこか空回りしているな」「もうちょっと何とかならないかな」と思っているなら、ぜひ心理術を参考にしてみて下さい。
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